劇画人間革命(9)
学会がかつての最盛期に近づきつつあるというのに、幹部たちの姿を見て戸田の心中は暗く沈んでいた。
「彼らは今もって、戦前の経験と惰性で一切が処理できるとタカをくくっている。
惰性はすでに保守だ。
保守は人を腐らせていく!! そこには使命感はなく、たくましい建設と開拓の精神は薄れるばかり…今は人を育てることに全力を注ぐしかないのだ…!!」 人知れず戸田の目に涙が溢れた。
新しい動きは確かに始まっていた――だが、それが大きな流れになるには、まだ時間を必要としていた…。
この当時、戸田は昼間は事業に全力を傾けていたが、一般の事業家達と甚だ異なっていたのは夜であった。
週のうち三日は法華経講議と御書講議。
残る三日は、都内の座談会で個人指導と折伏。
さらに土曜日曜にかけては地方折伏に飛び出していた。
人々の悩みは想像を絶するものがあった。
時には、絶対に解決すると断言する前に、自分自身の胸中で戦わねばならないこともあった。
日夜、敗戦後の街々を東奔西走していたが焼け石に水のように思える時もあった。
だが戸田は一人ひとりの宿命打破に、真っ向から挑戦していったのだ!!“二代目無法松”の異名をとる無双大介は、北九州は小倉の暴れん坊。
でっかい身体に、けた外れの野望を抱く大介は、夢中になっている人気女性歌手・明日香ルミに3年後の結婚を一方的に宣言して上京。
だが、ルミはタレント花村ヒロシとの婚約を発表する。
それを聞きひどく落ち込む大介だったが、花村が二股をかけている事実が判明し、ルミの目の前で謝罪させようとするが…。
明日香ルミの身辺に渦巻く黒い霧=芸能界における最も巨大な勢力、旭東興行。
表面は芸能プロダクションだが、そのバックは関東一円を支配する大暴力団・朱門組。
このままいくとルミの行く末は骨までしゃぶられるのが関の山。
その事実を知った無双大介は、黒い霧をはらすために朱門組を潰すそうとするが、それがきっかけでルミのタレント生命が窮地に追い込まれてしまう。
父の遺した地図をもとに、無双大介は日本海底に大油田を発見。
得た資金で引退に追い込まれていたルミをカムバックさせ、ついに結婚の約束を取りつける。
だが、油田が日本領海外にあることが判明し、一転して窮地に追い込まれる。
いまや、大歌手となったルミのためにも自ら身を引くことを決意する。
全てを失った大介は、新しい一歩を歩き出す。
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